翻訳ひといきコラム

翻訳学校のサン・フレア アカデミー

翻訳学習

サン・フレアの現場から 第2回

翻訳会社はどういう翻訳者を求めていますか

みなさまこんにちは。株式会社サン・フレアの岩下と申します。前回執筆担当の野澤とともに、人材サービス部という部署で登録翻訳者の方とのコミュニケーション活動を行っております。

前回のコラムで野澤が私たちの部署の活動の1つとして、「希望される方を対象に登録時に面談を実施しています」とお伝えしました。実は、その面談や翻訳実務検定 TQE®の合格者説明会の際に、プロの翻訳者になりたてのみなさんからよく訊かれる質問があります。

「翻訳会社はどういう翻訳者を求めていますか」
「よく仕事が発注される翻訳者はどういう翻訳者ですか」

いずれも、回答が難しい質問です。

誤訳をはじめ、誤字脱字、数字の間違いがない翻訳者は当然といえば当然です。翻訳スピードの速い翻訳者という回答も成り立つでしょう。翻訳支援ツールを使いこなせる翻訳者、どんな案件にでもチャレンジしてくれる翻訳者という回答もできると思います。

もちろん、翻訳会社からのそれらの要望をすべて満たしてくれるスーパー翻訳者が巷にあふれているはずもなく、いれば翻訳者からの納品物をブラッシュアップしたり検品したりする翻訳会社もラクなはず……と申しますか、翻訳会社なんて必要ないと思いますが。
ですので、これら一つ一つの事柄がとても重要なことであるといえると同時に、極端なことを言えば、なにかが欠けていてもほかにいい点があれば、プロの翻訳者としてある程度のお仕事はできるかもしれません。

プロの翻訳者とは

ただし、翻訳会社の一員として、個人的にみなさまに強くお知らせしていることがあります。それは「プロの翻訳者は、自分のしたい翻訳をするのではなく、お客様の求める翻訳をする」ということです。
当たり前のようですが、そこに一線を引けるか、その考えを持てるかどうかがプロの翻訳者とそうでない翻訳者を大きく分けると思っています。お客様の指示に沿った翻訳ができるかどうか、ですね。

「お客様からはこういう指示が出ているが、自分はこう翻訳したほうがいいと思うのでこうしました」という姿勢では、翻訳会社側もなかなか継続して案件を案内できないと思いますし、翻訳者側も趣味として翻訳を続けられたほうが気持ちよく翻訳できるのではないかと思います。もちろん、お客様も指示を間違えることはあるので、そういう場合はプロの翻訳者としての矜持をもって指摘していただきいのですが。

これは、翻訳をするときの気持ちの問題だけではありません。お客様の求める翻訳を提供し続けるためには、自分が専門とする分野の情報を常に仕入れなくてはなりませんし、品質も常に磨き続けなければなりません。

お客様の求める訳文を提供できるのか、自分が求める訳文を提供したいのか、そこにはプロの翻訳者として活躍できるかどうかの大きな違いがあります。これから翻訳者になろうと考えている方は、ぜひ念頭に置いておいてください。

岩下裕之

外資系翻訳会社にてリソース担当を経てサン・フレアに入社。プロジェクトマネージャーのリソース選定等の業務支援、翻訳者の新規開拓等に従事。

Facebook Twitter LINE はてなブログ Pin it

このページの先頭に戻る