翻訳ひといきコラム

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翻訳学習

わたしと翻訳 ~青木さんの場合~

(株)サン・フレアの登録翻訳者インタビューがスタートします! 1人目はIT分野の翻訳者 青木利幸さんにご登場いただきます。
・登録分野(言語方向):IT(英日) ・主な対応分野、案件:IT

翻訳者を目指すのに“理系”“文系”は関係ない

翻訳者になる前はどのようなお仕事をされていましたか。

自動車の安全関連部品メーカーの開発部に所属し、コンピューターシミュレーション技術と衝突実験を通したエアバッグによる乗員保護システムの性能設計業務に従事していました。具体的に言うと、コンピュータで、エアバッグの開くタイミングと乗員が受ける傷害値の関係を調べて、計算どおりに動作しているかどうかを、実際にエアバッグを搭載した車両に人間の形をした乗員のダミーを載せて衝突試験をして検証を行っていました。

なぜIT分野での登録を目指そうと思われたのですか。

上述のように前職でコンピュータによるシミュレーションを行っていたほか、大学時代は管内流体の圧力変動の計測が研究テーマで、コンピュータを使って自分でプログラムを組んで計測システムを構築したりしていたので、コンピュータのマニュアルを読むことに抵抗がなかったことが大きいですね。

翻訳者を目指そう!となった時、「文系出身」「理系出身」は関係あると思いますか。

関係ないと思います。日本の教育システムでいう理系文系というのは、基本的に高校時代の進振りの結果に過ぎないと思うので(たとえば、物理がさっぱり分からないから文系に進んだとか、古文漢文が読めないから理系にしたとか)、それが一生ついて回るというのは変です。文学部出身の人が30歳を超えてから何かのきっかけでコンピュータプラグラミングに興味を持っても不思議ではないわけですから。ただ、選ぶ側の人が参考にするという意味での有利不利は多少あるかと思います。

大切なのは「納期厳守」と「体調管理」

翻訳者になってから苦労した点はどのようなことでしょうか。

様々な翻訳支援ツールを使用して作業を進める方法を身につけることです。私がこの仕事を始めた20年前はTradosが出始めた頃で、翻訳作業のやり方がそれまでと一変しました。その点で言うと、当初サン・フレアさまで、オンサイトで数年作業させて頂けたことが非常に貴重な経験となりました。Tradosはもちろん、それ以外の様々な翻訳支援ツールの使い方を実地を通して学べたことが、他の翻訳会社さまに登録する際にも非常に有利となりました。

その他にも、オンサイトで他の翻訳者さんやチェッカーさんがどのように作業しているのかを実際に見ることができたこと、翻訳以外にチェック、校正、フィードバックなど一連の工程があることを知ることができたこと、クライアントからどのようなフィードバックがあるのかを確認できたこと、そして社内のコーディネータの人達とつながりを持てたことは、その後在宅作業に移る上で大きな収穫となりました。これらから翻訳者になろうとしている方には、機会があれば、(今はコロナでちょっと難しいですが)オンサイトで働いてみることをお勧めします。

翻訳者になってから気をつけていることはなんですか。

1つは納期厳守です。上述のようにオンサイト作業のときに翻訳作業の遅れが後工程に大きな影響を与えることを知ったので、(当たり前ではありますが)納期は絶対守るようにしています。そのために、作業の途中でメインPCがトラブったときにすぐに別の予備のPCで作業できるようにするバックアップ体制の整備、通信システムがダウンしたときの代替の回線の準備、ツールの使い方が分からなくなったときの質問先の確保に常に気を配っています。

もう1つは、上記の納期厳守にも関わってきますが、体調管理です。基本的に一日中PCの前に座りっぱなしで作業しているので、以前は腰を痛めることがよくありました。その対策として、朝と夕方のウォーキングを始めた結果、最近は腰痛を起こすことはほとんどなくなりました。腰痛以外にも、長時間の座りすぎは血流が悪くなるなどの健康リスクを高めると言われているので、30分~1時間に一度は立ち上がって軽いストレッチを行うようにしています。他に、集中力を維持する体力をつけるために月に数回のペースで近くのりんりんロードを利用して10km~20km程度のサイクリングをしています。それから、睡眠時間の確保にも気を付けています。一時期仕事を受けすぎて夜中までの作業を続けた結果、体を壊してしまったことがあり、それ以来は仕事の量を抑制して、一日7~8時間は睡眠を取るようにしています。

最後に、今後の夢や目標があれば教えてください。

最近AIによる翻訳の質が急激に向上し、この仕事も大きな転換期を迎えていると感じます。実際、機械翻訳やAI翻訳の結果を手直しするポストエディットの仕事も増えつつあります。人によっていろいろ考え方はあると思いますが、この状況を、以前よりも短い時間で多くの量をこなせるものと前向きにとらえ、翻訳作業のさらなる効率化を図り、収益向上を目指していきたいと考えています。

~PMより~
青木様には多くのプロジェクトで大変お世話になっております。主にソフトウェア、CAD等のマニュアル案件の依頼をさせていただいております。
TradosやMemsourceなどの翻訳ツールにも明るく、新しいツールも気後れせず習得されるため、ツールが氾濫している状態のITローカライズでも優先的にお声がけさせていただいております。
責任感が強く、問題を見つけたらすぐにご連絡いただけるため、私たちがプロジェクトマネージャーになった当初からさまざまなプロジェクトで頼りにさせていただいており、これまでいろいろな局面で助けていただきました。たまにご来社いただくこともありますが、冗談をとばしてみんなを笑わせてくれます。案件に向き合ったときの真剣さとお会いした時のユーモラスな一面とのギャップがまた魅力的ですね。一時期体調を崩された時は心配しましたが、末永く今後もお付き合いさせていただければと思います。

高松/金(ICT/コーパスビジネスユニット)

サン・フレアアカデミー

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