翻訳ひといきコラム

翻訳学校のサン・フレア アカデミー

翻訳学習

サン・フレアの現場から 第3回

サン・フレアの野澤です。

前回のコラムでは、求められる翻訳者という話を紹介いたしました。

今回もそれに関連して、補足する形で、サン・フレアの発注担当者である翻訳プロジェクトマネージャー(以下PM)は、どういった基準で翻訳者を選定しているのか、という議題を取り上げます。

翻訳スピード

選定基準の一つは、翻訳スピードです。

その前に、PMには、大きく分けて「対顧客」の業務と「対制作者」の業務があります。

まず「対顧客」の業務では、弊社では創業以来、なによりも顧客視点を優先することを理念にやってきました。そこには、顧客にしっかりと寄り添そうという姿勢で、顧客の志向にあった商品・サービスを提供する対応力が求められます。

具体的には、競争力のある適正な価格で顧客の立場に立って要求される水準での品質を安定的に実現しつつ、希望納期に応える。これらの各要素は互いに影響を与えており、トレードオフの関係がありますが、現実的には、顧客が満足する品質の商品を提供するのは当たり前で、特に顧客と調整が必要な要素は納期です。

そもそも顧客が翻訳をプロに発注する背景には、主に企業が実際のビジネスで使用することとなったドキュメントが、ある言語から他の言語にも変換して使用する必要が発生したという事情があり、そこには明確な期限が存在します。つまり翻訳は目的ではなく、そのための手段です。

そこで次に「対制作者」の業務として、まずPMは、顧客への納期から逆算して一日に必要な翻訳処理量を把握して、弊社データベースを眺めながら分野や言語に適した登録翻訳者を数名選定して優先順位を決めて連絡します。

納期交渉では、無理強いは禁物です。一方的に指定納期を強いるのではなく、お互いのコミュニケーションを通じて納得感のある合意形成を目指します。

ただ、実際には納期に余裕がある案件は多くないため、翻訳スピードが速いということは翻訳者にとって大きな強みです。実際に納期の面でお互いに妥結できずに別の方に相談、ということもよくあります。翻訳スピードの指標として、弊社では、英日翻訳で原文1500~2000ワード/日が標準的であると考えており、それを上回る程度に応じて早いという評価が高まります。

さらに業界の趨勢として、機械翻訳の高精度化が進むにつれて、人手翻訳のスピードに対する期待値は高まってくることが予想されます。

そのスピード向上には、翻訳支援ツールなどの技術を活用した翻訳プロセスの工夫や、弊社からの支援も必要と考えます。これについては次回以降で取り上げたいと考えております。

野澤 優太

大学にて英語専攻、その後サン・フレアにて主に知財翻訳部門の翻訳コーディネーター・プロジェクトマネージャーとして翻訳工程管理等に従事。現在は、翻訳者の増員や生産性向上策の企画・実施など、人的資源の整備を支援する活動に従事。

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