第82回 医学・薬学(和文英訳)
飛嶋さん
1.自己紹介をお願いします
飛嶋と申します。フリーランスで翻訳に携わるようになって今年で12年目になります。この度、第82回TQE「医学・薬学」和文英訳に合格し、登録させていただくことになりました。
2.受検した言語の学習歴を教えてください
中学ではじめて英語を学習しましたが、すぐに英語の楽しさの虜になりました。高校時代に奨学金を頂いて1年間米国に留学し、大学、大学院では言語学を専攻しました。英語漬けの学校生活の合間に、英検や国連英検、通訳検定、TOEICやTOEFLなども積極的に受検しました。あまりにも英語が好きなので、一生英語に関わる仕事をしたいと思っていました。
3.翻訳の学習歴を教えてください
フリーランスになるきっかけとなった通信講座は環境問題や社会福祉に関する分野でした。以来10年間ほどは実際の仕事のみで、特に翻訳の学習はしていませんでした。医学・薬学分野を志すと決めた1年半ほど前から、サン・フレアアカデミーの中級講座を通信で、昨年は上級講座と治験和訳演習(臨床分野)を通学で受講しました。現在は非臨床分野を通信で受講中です。
4.何がきっかけで翻訳者を目指そうと思いましたか
フリーランスになる前の国家公務員時代は、軍事や国際情勢の分野の翻訳が主な業務でした。翻訳の作業に携わったのはこの時が初めてです。当時は未熟ながらも分かりやすい訳文を目指すことが楽しく、じっくりと訳文に向かい合うことができる翻訳にやりがいを感じながら日々の業務にあたりました。出産で退職後、上記の通信講座受講を経て在宅の翻訳スタッフになり、比較的ゆっくりしたペースで仕事をしつつ、家事や育児と両立してきました。子供たちが大きくなり、今後残された人生でもう一度何かに打ち込んでみたいという思いに駆られ、新たに医学・薬学の専門分野に進むことを決意しました。昨年、もう1社の医学・薬学分野のトライアル(日→英)に合格し、専門的な仕事も徐々に増えています。
5.TQEを受検したきっかけは何ですか
恥ずかしながら、上級講座を受講するまでTQEのことは名前程度しか知りませんでした。サン・フレアの講座で学習するうちに、どうせ勉強するならば目標が欲しいと思い、受験を決意。まずは得意な英訳から挑戦することにしました。
6.TQE合格のために苦労した点、悩んだ点はどういったことでしょうか
TQEの合格率は極めて低いと講師の先生から聞かされていたので、初めての受験で合格できるかどうかの不安が常にありました。普段の勉強で、文法的に間違いのない文を作ることにはまずは自信がありましたが、英語として自然かどうか、その分野でよく使われる表現がまだ他にあるのではないか、との疑問に対する自信がもてず、インターネットを使って調べてはみるものの、上達の実感がなかなかつかめませんでした。また、勉強を始めたばかりの分野で原文の意味がつかめない事もあり、辞書にもない専門用語にも苦労しました。医学・薬学の専門知識に関しては、まだまだ不足していることを自覚しています。今でも勉強の日々ですし、一生続くと思います。
7.苦労した点、悩んだ点はどのように解決されましたか
普段から英語に関しては、模範として信頼できる文をひたすら写し書きするなどして、定型文の構造や表現の感覚をつかむように心がけています。TQEの過去問についても同様に、なぜこの日本語の原文がこの試訳の英文になるのか、じっくりと構造を見きわめて自分の発想に足りない面を補うように努めました。ただ、英語に関しても専門知識に関しても、修行半ばです。
8.合格した分野を受検するために参考にした書籍等はありますか
昨年のセミナー時に講師の濱田先生から勧められた『薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門』は、医学・薬学分野の英訳をする人にとってのバイブルではないかと思います。4冊組で高額な本ですが、これは読むべきです。専門分野については、最初は動画などで高校の生物や化学、看護学生向けの講座をじっくりと学習しました。分かりやすく解説されているものが数多く見つかりました。放送大学などにも有益な講座があります。上級講座などで紹介された書籍も、なるべく取り寄せて参考にしました。
9.翻訳者としてのこれからの計画を教えてください
まずは現在受講中の非臨床分野についての理解を深め、和訳の知識も整理しようと思います。そして医学・薬学(英→日)のTQEにも合格できたらいいですね。専門分野の知識をたゆまず吸収しながら、翻訳の仕事を通して成長していきたいと考えております。そのための努力が楽しく、医学・薬学分野に対しても新鮮な興味を抱くことができるので、翻訳の仕事は私に合っているのではないかと思います。英訳、和訳ともに、原文に忠実な分かりやすい翻訳文が安定して作れる翻訳者になるのが夢です。
10.TQE合格を目指す方々にメッセージをお願いします
TQEでは自分の翻訳文の評価が点数としてはっきり表示され、実力がある程度客観的に分かります。実際の仕事では、試訳などはもちろん頂けませんし、したがって自分の至らない訳文をじっくり復習することもできません。その意味でTQE受験は貴重な体験です。課題文も、過去問として接するのと、実際に受験する身として接するのとでは、翻訳に向き合う真剣度が違ってきますし、身につく度合いも大きく差が出ると思います。難関だから、不合格が怖いからとしり込みせずに、チャレンジしてみることをお勧めします。活用できる講座や教材、チャンスはすべて活かし、自分の力にしていく意気込みで前進あるのみ、です。お互いに頑張りましょう!