Strategy and Tactics of Translation
『翻訳の布石と定石』について
サン・フレア アカデミー学院長・岡田信弘の著作『翻訳の布石と定石 実務翻訳プロへの道』(三省堂)。
イカロス出版「通訳翻訳ジャーナル」に1998年5月号から2年半にわたり連載した「誤訳パターン克服法」、それをサン・フレア アカデミーのHPに「翻訳の泉-翻訳教室」として掲載し好評を博してきましたが、本書はその15年後の新展開となります。
Strategy and Tactics of Translation
『翻訳の布石と定石』について
サン・フレア アカデミー学院長・岡田信弘の著作『翻訳の布石と定石 実務翻訳プロへの道』(三省堂)。
イカロス出版「通訳翻訳ジャーナル」に1998年5月号から2年半にわたり連載した「誤訳パターン克服法」、それをサン・フレア アカデミーのHPに「翻訳の泉-翻訳教室」として掲載し好評を博してきましたが、本書はその15年後の新展開となります。
学院長・岡田信弘
囲碁などでも対戦を繰り返すだけよりも、少し慣れてきたら、最初に全体的な作戦を考えながら石を配置する布石や、具体的なケースに対する決まった対処のしかたを示す定石の勉強に取り組むと上達が早いと言います。
翻訳でも同じです。翻訳に取り組むための作戦やその際に考えるべき観点があるとすれば、それを知り身に付けてから翻訳に取り組むのが上達の早道です。本書には、英文和訳においてベテランなら頭に入っている色んな作戦やテクニックや観点がたっぷり詰め込んであります。
原文通り前から訳し下げるか、それとも逆に訳し上げるか。名詞形を動詞の形に展開して訳すか、それとも逆に折り畳んで訳すか。受身形を能動態の形で訳すか、それとも受身のままでまたは自動詞の形で訳すか。科学技術文やその他の実務文など硬めの文章なら、原文理解が間違っていない限り、この三種の選択をきちんとやるだけで、ほぼ日本語らしい訳文になります。
構文でも単語でも、いつも同じ訳し方をすると紋切り型になってしまい、誤訳や拙訳の原因になるものですか。科学技術文やその他の実務文など硬めの文章なら、原文理解が間違っていない限り、この三種の選択をきちんとやるだけで、ほぼ日本語らしい訳文になります。
構文でも単語でも、いつも同じ訳し方をすると紋切り型になってしまい、誤訳や拙訳の原因になるものです。場合に応じて適切な選択を行うのが大事で、その判断力を磨く必要があります。複数の選択肢を用意しておき、順に試していく。よく使えそうなものをデフォルトとし最初に適用してみるのもいいですね。
「翻訳の泉」では前半で構文を取り扱った後、後半では代名詞・前置詞などの機能語について具体的な訳し方を紹介したが、本書では、構文編を整理し直して示した上で、それ以外のテクニックや観点をテーマ別に整理して追加してあります。構文編の例文も選び直しましたが、残念ながら利用者の方々の声によれば「翻訳の泉」の方がとっつきやすいそうです。ただ誤訳や拙訳の例も示してある点は分かりやすくなったと思います。
本書に取り組む際には、例文とその訳し方だけでなく、例文で扱うテーマの趣旨もしっかり理解していただきたいです。
「翻訳の泉」の学習では自分の中で十分に整理しきれていない部分について、『翻訳の布石と定石』にある新たな例文によって、より明確に理解できました。翻訳学習の中で、翻訳講座で作成した自分の単語帳と、「翻訳の泉」、『翻訳の布石と定石』の内容をひとつのExcelファイルにまとめたものを作成しており、実案件では不確かな点をこのExcelファイル中で検索して確認する形で使用しております。まずは「翻訳の泉」を検索し、さらに例文を見る必要がある場合に『翻訳の布石と定石』を検索する順番となります。翻訳のノウハウを体系的に学習することができ、自分としては翻訳のバイブル的な位置づけとなっております。
翻訳は原文に忠実に訳すのが基本ですが、かといって直訳だけでは日本語として不自然なことが多いので違和感のない日本語にするためにはある程度の「意訳」も必要と思っていました。そこで、翻訳ではどの程度の「意訳」が許されるのかを知りたいと思ったのが翻訳講座を受講したきっかけだったのですが、その点において『翻訳の布石と定石』では、「意訳」というよりは、直訳だと不自然な日本語をどう自然に表現するか、というルールや考え方(定石)が多くの事例を通して説明されているので、非常に勉強になりました。
「翻訳の泉」第3回の名詞構文から勉強させていただきました。一般の書籍からは得られない貴重な知識が非常にわかりやすく説明されているので、ほとんどそのままサブノートに書き写しています。すぐに応用のきく強力な例文が満載ですので、通勤電車の中などで繰り返し反復してまねるという方法で学習しています。第3回しかまだ学習していませんがその全部が英語の理解を深めるのに役立っています。自分も名詞構文がうまく使えるように早くなりたいと思います。
構文、連語の訳し方のコツに焦点を当てて、それらを使った訳例を参照しながら学習を進めております。意訳に走らず、原文に忠実に、かつ正しい日本語で訳すために活用して参りたいと思います。
初めて受講される皆さまへ、『翻訳の布石と定石』をプレゼントしています。
講座テキストと合わせて学習にぜひお役立てください。