矢萩 真弓先生
■担当講座
- 特別講座「QC点検講座」
先生への一問一答
―― 開講に寄せて
医薬品の承認申請関連ドキュメントの作成において、QC点検は欠くことのできない業務です。QC点検を経て原資料との整合性、ドキュメントの完成性、文書間の一貫性等が担保されてはじめて、当局に申請するにたる信頼性の高い申請文書となるのです。
では、QC点検では具体的に何をするのでしょうか。簡単に言うと、数値・記号・用語を中心とした根拠資料との付け合わせチェックということになりますが、単に2つの文書を並べて数字や記号を見比べればよいというわけではありません。的確なQC点検を行うためには、複数の関連ドキュメントの構成を理解したうえで、対象文書の字面を漫然と追うのではなくきちんと「読む」必要があります。多岐にわたる点検項目のすべてを正確に、漏れなくチェックすると同時に、常に全体に対する意識を念頭に置くことが重要です。
QC点検の方針や個々の点検項目等は、案件によって異なることがありますが、基本原則に違いはありません。本講座では、QC点検の基本となる作業手順や留意点を解説いたします。また、主に治験総括報告書(CSR)を用いたQC点検の演習、フィードバックも行う予定です。
翻訳者を目指す方へのメッセージ
在宅で医薬翻訳をしていたとき、治験関連文書をよく目にするようになって興味をもち、いろいろ調べているうちに、QC点検という職種があることを知り面白そうと思ったのがきっかけでQC点検者になりました。当時のサン・フレアでの募集は、確か週3日以上のオンサイト勤務が条件だったと記憶していますが、ちょうど子供が高校生、大学生になる頃だったので、在宅からオンサイト勤務へ移行するのによいタイミングでした。そこで、まずサン・フレア アカデミーのメディカルライティング講座を受講し、その後、トライアルを受けてQC点検者として登録していただくことができました。
QC点検者を目指す方へのメッセージ
業界未経験の方などでは、最初は点検が思うように進まなかったり、根拠資料を探して迷子になったりするかもしれませんが、QC点検業務では案件を1つこなすごとに着実に経験値が積まれていきます。日々、生の治験関連文書に接することになり、知識もどんどん増えていきます。まさにOJTですね。メディカルライターや治験翻訳者を目指す方にも有益な経験になると思います。
■プロフィール
麻布大学大学院獣医学研究科修了後、私立大学医学部助手を経て、動物専門学校及び動物看護短期大学非常勤講師の傍ら1996年からフリーランス医薬翻訳者。2010年から株式会社サン・フレアにてQC点検及びメディカルライティングに従事。QC点検者の社内導入研修を担当。