山名 文乃先生
■担当講座
- 動画講座「日本語メディカルライティング基礎[入門編]」
先生への一問一答
―― 翻訳者になろうと思ったきっかけは?
大学と大学院では生命科学を専攻しました。大学院修了後は会社勤めをしていましたが、通勤がなく、空調など自分に快適な環境で仕事ができる、自身の専門を活かせるうえに長く仕事ができると思い、フリーランスのバイオ特許翻訳者を目指すことにしました。英語学校で3年間英文法を学び、翻訳スクールにも通いました。そんなとき初仕事の打診がありましたが、特許ではなく医療論文の英訳でした。その後、トライアル合格率も医薬のほうが高く、やっていて楽しい。自分はメディカル翻訳者になろうと決めました。
――(翻訳者から)メディカルライターになろうと思ったきっかけは?
私はメディカル翻訳者でもありますが、製薬・治験分野が専門です。あるとき治験翻訳の先にメディカルライターという仕事があることを知りました。狭き門のようでしたが、先輩からも話を聞くことができ、お客様にも「やってみてはどうか」と勧められました。機会をいただいて取り組んでみたら、これが楽しいのです。現場の方に指導していただける運にも恵まれ、ライティングの仕事が増えていきました。翻訳とライティング、役割も責任の範囲も違う2つの仕事を行き来する面白さは、経験してみないとわからないかもしれません。相乗効果もあり、メディカルライティングの経験は治験翻訳や医薬翻訳にも生きています。
翻訳者を目指す方へのメッセージ
――メディカルライターを目指す方へのメッセージ
治験翻訳とメディカルライティングは「似て非なる」業務ですが、どこが「似」で、どこが「非」か、理解することが第一歩だと考えています。翻訳者もそうですが、メディカルライターも「誰でも簡単になれる」わけではありません。むしろその逆です。けれども、興味や関心に加えて、規制法規やガイドラインを十二分に理解し、読み手に違和感を与えない簡潔な文章を書こうと常に努力できる人ならば、目指す価値はあると思います。さらにバイオやメディカルのバックグラウンドがあったり、製薬企業での就業経験があったりすれば、メディカルライターに近い位置にいると言えるでしょう。なんといっても成果主義であり、これまでの経験や努力が報われる仕事の一つです。やりがいの面からも、また面白さからいっても、メディカルライターはメディカル翻訳と同じくらいか、それ以上のものが得られる職業ではないかと思います。
■プロフィール
筑波大学第二学群生物資源学類卒業、筑波大学大学院バイオシステム研究科修了。2011年よりフリーランス専業となる。バイオ・メディカル分野を中心に、製薬・治験翻訳(和訳・英訳)とメディカルライティング(和文・英文)に対応している。